日本三名園とは、優れた景勝を持つ三つの日本庭園、石川県金沢市の兼六園、岡山県岡山市の後楽園、茨城県水戸市の偕楽園の総称で、明治時代に発行された外国人向けパンフレットで紹介されたのが始まりと言われています。パンフレットでは、「雪の兼六園」「月の後楽園」「花の偕楽園」と紹介されていたとか。
当然ながら日本三名園は場所も規模も異なりますが、いずれも地方都市にある大名庭園でであることが共通しています。金沢市の兼六園は前田家、岡山市の後楽園は池田家、水戸市の偕楽園は水戸徳川家が所有していました。さらに、どの庭園も池を中心に周囲を回遊して風雅を楽しむ回遊式庭園である、規模が大きく広がりがある、芝生を用いた広い空間がある、日本各地の名所・旧跡を縮景としているなどの共通点も。
兼六園(石川県)
加賀藩の5代目藩主・前田綱紀が建てた別荘の周辺を庭園としたのが兼六園の始まりと言われています。1985年、「宏大、幽邃、人力、蒼古、水泉、眺望」の六勝を兼ね備えている庭園として国の特別名勝に指定されました。これは庭園の国宝とも言える最高の格付けだとか。
2009年には『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン 』でも最高ランクの三つ星を獲得しました。
庭園の敷地は11万4千㎡と東京ドームの2倍以上の広さを誇り、園内各所で美しい景観を楽しむことができます。冬の風物詩として知られる雪吊りをはじめ、梅苑の紅梅白梅や季節ごとに庭園内をライトアップする「四季物語」など、四季折々移り変わる景観は日本ならではの魅力があふれています。
後楽園(岡山県)
1687年、岡山藩主・池田綱政が家臣に命じ着工、1700年に完成。江戸時代には御後園(ごこうえん)と呼ばれていましたが、明治時代に庭園を開放するにあたり後楽園の名称に改められました。国の特別名勝に指定されている回遊式庭園です。
1952年には特別名勝に指定され、歴史的文化を後世に伝えています。
園内は広い芝生地に池や築山、水路などが配され、歩きながら移り変わる景色を眺めることができるように作られた回遊式庭園で、『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン 』で三つ星を獲得したことで世界的に知られるようになりました。
期間限定で開催されるライトアップイベント「幻想庭園」では、昼間とは異なる妖艶な庭園の姿が楽しめます。
偕楽園(茨城県)
1842年、水戸9代藩主・徳川斉昭公により開園された偕楽園。斉昭公自ら構想を練り、七面山を切り開いて創設させたと言われています。
「古の人は民と偕に楽しむ、故に能く楽しむなり(昔の人は、王も民もともに楽しんだ。ゆえに喜びも一層だった。の意)」という、中国の古典『孟子』の一節から、偕楽園と名付けられました。
「花の偕楽園」との名の通り、13haもの広大な敷地に約100種類3,000本の梅が植えられていることから、梅の名所として広く親しまれています。2月下旬から3月にかけての「梅まつり」から始まり、桜、つつじ、秋には萩、初冬には二季咲桜と、1年を通して園内に咲き誇る花々が訪れる人を楽しませてくれます。