自然豊かな日本には、森林や川、湖などのほか、山間に流れ落ちる滝も随所に存在しています。特に美しく風格のある滝は名瀑(めいばく)と呼ばれ、古来から書画や和歌に地誌などに登場し人々に景勝として親しまれてきました。
その中でも、歴史的に有名な日本を代表する3つの滝を日本三大瀑布としています。諸説ありますが、一般的には日光の華厳の滝、熊野の那智の滝、奥久慈の袋田の滝と言われています。
どれも、その落差はもちろん豊富な水量など、見る者を圧倒する景色が広がり多くの観光客を魅了してやみません。
華厳ノ滝(栃木県)
奈良時代の僧・勝道上人(しょうどうしょうにん)が日光を開山する際に発見したと言われている名瀑ですが、現在のように観光名所となったのは明治33年頃から。それまでは、危険な岩場を這いながら木にしがみついて見ていたそうです。
栃木県・日光周辺には48ものさまざまな滝があることでも知られています。
中禅寺湖の流出口にあり、高さ97mの岸壁を轟音とともに一気に落下する雄大さが魅力の「華厳ノ滝」。その迫力を満喫するのであれば、エレベーター(有料)で100m下の滝見展望台から爆音とともにはじける水しぶきを間近で楽しむのがおすすめです。厳冬には、「十二滝」と呼ばれる細い滝が凍りつき、全体が淡い青色に彩られる幻想的な姿を見せてくれるとか。
那智の滝(和歌山県)
和歌山県那智川の中流に位置する「那智の滝」は、吉野熊野国立公園指定の滝で、世界遺産にも認定されました。また、神武天皇の時代から熊野那智大社の別宮「飛瀧神社」のご神体として崇められてきたことでも知られています。
滝の落ち口の岩盤には3つの切れ目があり、三筋になって落ち始めることから「三筋の滝」とも呼ばれています。落差133m、滝壺の深さは10mと、一段の滝としては落差日本一の名瀑。流れ出る水の量は毎秒1トン程度にも及ぶといわれ、まさに圧倒的なスケールを誇ります。
傍らにそびえ立つ朱色の三重塔と見事に調和した景色は、ぜひ押さえておきたいシャッターポイント。
袋田の滝(茨城県)
冬の氷爆で名高い「袋田の滝」は、浸食に耐え残った約1500万年前の火山噴出物の末端の断崖という特異な滝で、奥久慈県立自然公園に指定されています。
久慈川の支流滝川に位置し、高さ120m、幅73mの大きさを誇ります。大岩壁を四段に流れることから「四度の滝」と呼ばれていますが、その昔西行法師が「この滝は四季に一度ずつ来てみなければ真の風趣は味わえない」と絶賛したことが所以とも。
秋には紅葉が美しく、冬には滝が凍結し神秘的。春には氷が溶け出し新緑が清々しく、夏には太陽の光に輝くなど、四季折々にさまざまな姿を見せるのが特徴。
同じ滝ながら、遠くから眺めると穏やかな白いラインが、近付くと地面を叩きつける荒々しさを見ることができます。時が経つのも忘れて見入ってしまうはず。