日本三景

江戸時代初期、全国を行脚した儒学者・林春斎が『日本国事跡考』において、卓越した3つの景観とした紹介した松島・天橋立・宮島が「日本三景」の始まりとされています。以来、日本を代表する景勝地として親しまれてきました。周囲を海に囲まれた島国ならではの景観で、青い海と緑の松原が織りなすコントラストは、今もなお見る人々の琴線に触れ忘れ難い絶景として心に刻み続けられています。
また、古くから歴史の舞台として登場するとともに和歌や絵画の題材としても親しまれてきました。

松島(宮城県)

大小260余りの島々が穏やかな海に浮かぶ松島湾の絶景は、かの松尾芭蕉がそのあまりの美しさに驚嘆し言葉を失い、句作をあきらめたともいわれています。地殻変動や水面の上昇により現れ景観は、平安の世から歌や絵に登場し、現在も訪れる人々をもてなしてくれています。高台から雄大な景色を望めると人気の展望台は4ヶ所。波の浸食によってできた島々の表情を間近で楽しめるクルージングも人気です。

天橋立(京都府)

京都府宮津市の宮津湾と内海の阿蘇海を南北に隔てる全長3.6キロメートル・幅約20~170mの湾口砂州約6,700本もの松が生い茂る珍しい地形の景勝地。何千年もの歳月をかけて自然が造り出した神秘の造形美は圧巻です。イザナギノミコトが天界と下界を結ぶために作ったはしごが海上に倒れ、そのまま細長い陸地になったのが天橋立といわれています。いくつかのビュースポットから逆さに眺めると、天に橋が架かっているような幻想的な景色に見えるため、股のぞきで見るのが恒例。

宮島(広島県)

古来から聖域として敬われた宮島は、参拝客を受け入れる江戸時代の宿場の佇まいを残したまま、現代へと推移してきました。日本三景に数えられる景勝地としての中心は厳島神社で、平清盛によって修築された社殿と瀬戸内海にそびえ建つ大鳥居が優美な世界を織り成しています。1996年12月、寝殿造りの神社をはじめ、大鳥居が建つ海、背後の原始林を含む島の14%が世界文化遺産に登録されました。

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